「なんでも鑑定団」で国宝級と言われた「曜変天目」に見る「曜変天目」の価格
「開運!なんでも鑑定団」で、2500万円の鑑定額、しかも「国宝級の曜変天目」として鑑定された茶碗の文化財指定に向けた調査計画が中止となった。
所有者の住む徳島県の教育委員会は文化財指定に向けた調査を計画していたが、専門家などから鑑定結果を疑問視する指摘により、所有者から調査中止の申し出があった。
「曜変」とは「天目」という言葉と同じく日本で作られた言葉。
本来は「窯変(容変)」と表記され、陶磁器を焼く際の予期しない色の変化を指す。
しかし、星のような紋様・美しさから、「星の瞬き」「輝き」を意味する「曜(耀)」の字が当てられるようになった。
そのため「曜変茶碗」とは、内側の黒い釉薬の上に大小の星と呼ばれる斑点が群れをなして浮かび、その周囲に暈天のように、瑠璃色あるいは虹色の光彩が取り巻いているものを言う。この茶碗の内側に光を当てるとその角度によって、七色の虹の輝きとなって跳ね返ってくる。これが曜変天目茶碗の条件とされている。
現在、国宝に3点、重要文化財に1点が指定されている。
【国宝3点】
静嘉堂文庫蔵
通称「稲葉天目」。元は徳川将軍家の所蔵で、徳川家光が病に伏せる春日局に下賜し、その子孫である淀藩主稲葉家に伝わった。1934年に三菱財閥総帥の岩崎小弥太が購入し入手した。
水戸徳川家に伝えられたもの。1918年に藤田財閥の藤田平太郎が入手。
筑前黒田家の菩提寺、大徳寺の塔頭龍光院に初世住侍江月宗玩以来伝わったもの。
通常非公開であり、鑑賞できる機会は稀。
【重要文化財】
加賀藩主前田家に伝えられたもの。大佛次郎が所蔵していたもの。
曜変は内面の一部に限られ、この天目茶碗を「曜変」と呼ぶかどうかは議論がある。
大正から昭和にかけて刊行された茶道具書籍『大正名器鑑』で著者の高橋箒庵は当時「曜變」とされていた6点をあげている。
曜変 大名物 横浜 小野哲郎(現・国宝、静嘉堂文庫蔵)
曜変 大名物 侯爵 徳川義親(尾州徳川家所蔵油屋所持曜変天目)
曜変 ___ 伯爵 酒井忠正
曜変 ___ 侯爵 前田利為
『稲葉天目』が大正7年に売買された時の価格は16万8千円。
当時の1円を現代に当てはめると約1万円という事なので、16億8千万円となる。
※参考:大正7年の労働者家庭の生活費は1か月28円、小学校教員初任給12-20円。
なお、耀変天目に比べればワンランク下がると言われている、『油滴天目茶碗』が2016年、にサザビーズ、クリスティーズという2大オークションサイトにて一品ずつ出品され、それぞれ、落札額は約1億5000万円(サザビーズ)、約12億円(クリスティーズ)となった。
(2017年4月11日(火) ~ 2017年6月4日(日))において
「稲葉天目」を見ることができる。