キネマ旬報ベスト・テン 1位の「この世界の片隅に」原作者 こうの史代 の描きたかったこと
1/10日に発表されたキネマ旬報ベスト・テンで、日本映画の1位に片渕須直監督のアニメ映画「この世界の片隅に」が選ばれた。「となりのトトロ」以来、28年ぶりにアニメーション作品が1位を獲得した。
キネマ旬報ベスト・テンは、1年を代表する映画を映画評論家などが投票によって選ぶもので、キネマ旬報に今後、選出者の採点とコメントが掲載される。
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すずの声は女優のんが担当。クラウドファンディングによる資金調達で、映画化を実現した。
他の順位は以下の通り。
■日本映画ベスト・テン
1位 この世界の片隅に
2位 シン・ゴジラ
3位 淵に立つ
5位 永い言い訳
6位 リップヴァンウィンクルの花嫁
7位 湯を沸かすほどの熱い愛
8位 クリーピー 偽りの隣人
9位 オーバー・フェンス
10位 怒り
■外国映画ベスト・テン
1位 ハドソン川の奇跡
2位 キャロル
3位 リッジ・オブ・スパイ
4位 ランボ ハリウッドに最も嫌われた男
5位 山河ノスタルジア
6位 サウルの息子
7位 スポットライト 世紀のスクープ
8位 イレブン・ミニッツ
9位 ブルックリン
10位 ルーム
原作である こうの史代の漫画は、13回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞。主人公は「すず」。18歳の時に広島・呉に嫁入りした。戦況が悪化していく中で生きた彼女の生活を描く。
上記のインタビューによると、
『この世界の片隅に』は原爆でない別の戦災、ふるさとでない場所の戦災を描きたいと思い舞台を呉に設定。
まず年表を作り、そのなかでキャラクターをパズルのように配置。
メインが生活の話なので、衣食住がバランスよく配置されるように考えた。
読者が普遍的に感情移入できるように、特定の国や人物を描かないようにした。
戦時中の生活をテーマするため、主人公をボケキャラにすればまわりがいろいろと教えてくれるから話が進みやすいと考えた。
戦争中の暮らしについては、もっとよく調べてみたいと思っていた。
戦争もので描かれるような女性と、戦争を体験した私の祖母たちとはイメージが違う。
普通の主婦は忙しくて書く時間がなかったからだと思う。そんな人たちを描いてみたかったん。
戦争ものというのは、なるべくたくさんの人が描けば、よりたくさんの方に届くのではないかと思っている。
ちなみに日本映画製作者連盟(映連)による2015年(平成27年)全国映画概況では、
区 分 |
平成27年 |
||
入場人員 |
166,630 |
千人 |
|
興行収入 |
全体 |
217,119 |
百万円 |
邦画 |
120,367 |
55.4% |
|
洋画 |
96,752 |
44.6% |
|
平均入場料金 |
1,303 |
円 |
|
公開本数 |
全体 |
1,136 |
本 |
邦画 |
581 |
本 |
|
洋画 |
555 |
本 |
|
映 画 館 数 |
3,437 |
スクリーン |
また、2016年6月NTTコム リサーチの第5回 「映画館での映画鑑賞」に関する調査によると
映画館で映画鑑賞をした人は全体で38.7%。
男性・女性ともに若年層ほど映画館での観賞率が高くなっている。